胃がんは感染症で遺伝病? 〜ピロリ菌検査・除菌のススメ〜
ピロリ菌とは?
ピロリ菌は、胃の中に長年住み続けている細菌です。正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ菌」といいます。
ピロリ菌は、胃の粘膜や壁を傷つけ、胃壁に酸の攻撃を受けやすくしてしまうため、胃がんや胃潰瘍、慢性胃炎の主な原因と言われています。
また、潰瘍のリスクファクターとしてはストレス・たばこ・暴飲暴食などがあげられますが、ピロリ菌が胃にいると、症状がさらに悪化してしまいます。
ピロリ菌の検査は何をする?
ピロリ菌検査を行うにあたって、ピロリ菌のみの検査を行いたいという方も多くいらっしゃいますが、ピロリ菌のみの検査では保険適用となりません。初回は胃カメラ検査を行い慢性胃炎所見のある方しか保険を適用してピロリ検査を行うことはできません。
当院で採用している主なピロリ菌検査方法は、尿素呼気試験、抗原法、抗体検査の3種類です。日本人は胃がんが多いため、一度は胃カメラを行いその際に一緒に検査することをお薦めいたします。
ピロリ菌の治療
ピロリ菌の治療では、3種類の薬を服用し、一週間飲むと95%以上の人が除菌できます。 ピロリ菌に耐性ができていて一次除菌療法でも除菌できない場合、二次除菌療法で他の抗生物質を使用して除菌します。
ピロリ菌の感染経路
上下水道が整備されていなかった年代では、ピロリ菌が混入した井戸水による経口感染が原因と考えられていますが、現在では、母から子への家庭内感染が疑われていますので、大人から子供への食べ物の口移しなどはできる限り避けましょう。
現在の感染率は、高齢者(団塊の世代前)の方は約80%前後、若い世代では20%以下です。高年齢の方の感染率が高いのは、上下水道が十分に整備されていない不衛生な環境で育ったことが原因と考えられています。
胃がんは遺伝病とは??
以上のことから、胃がんは家族間でのピロリ菌の垂直感染が、主な原因である可能性が高いことが考えられます。代々胃がんの家系では、ピロリ菌が影響しているかもしれませんので、気になる方はまずは胃カメラでの検査をおすすめします。
(胃がんは遺伝病ではありません!)
除菌後が重要です!!
最後に、ピロリ菌を除菌しても胃がんの危険は減少しますが、決してゼロになりません。それ以前に感染していた期間のダメージは残るため、除菌後も胃がんになる人はいます。
除菌後は、1年に1回の内視鏡検査を受けましょう。当院の内視鏡担当医は、全て日本消化器内視鏡学会専門医です。信頼できる当院での内視鏡検査を是非ご活用ください。
参考
・知っておきたいがん健診 胃がん健診|日本医師会
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/stomach/
・ピロリ菌が引き起こす病気と治療方法、予防策について|公益財団法人柏市医療公社柏市立柏病院