胃の病気(胃潰瘍・胃癌など)
胃は、お腹のなかの食べ物の通り道の一番はじめの部分です。
個人差がありますが、多量に食べ物が入り、お腹いっぱいご飯を食べたあとにレントゲンを撮ると、お腹全体の半分くらいを占めてしまうこともあります。
食べたものを効率よく消化・吸収するために、いっぱい食べたものをクッションとして受け入れる働きのほかに、ある種のビタミンの吸収などに大きく関わっています。
萎縮性胃炎
ピロリ菌感染が原因です。
胃もたれ感、胃違和感、軽度の胃の痛み、といった症状を伴うこともありますが、ほとんどが無症状です。
無症状ですが、胃癌の大きな原因になると言われており、萎縮性胃炎がある場合は、1〜2年おきに胃カメラの検査を受けていただくことが勧められます。
なるべく早めにピロリ菌を除菌することによって、萎縮性胃炎の進行を抑え、胃癌の発生を抑えることができると考えています。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃は、飲み込んだものがほぼそのまま入ってくる場所ですが、いろんな「攻撃」から「防御」することによって正常な胃粘膜の状態を保っています。
この「攻撃」と「防御」のバランスが崩れてしまうと、胃の粘膜が薄くなり、しだいに欠損し、穴があくようなかたちとなってしまいます。これを潰瘍と言います。
「攻撃」を増やす原因として、ピロリ菌、NSAIDsと言われる痛み止め類(ロキソニンなど)、ストレス、喫煙、などがあります。
症状として、胃の痛み、みぞおちの痛み、悪心、嘔吐、食食不振、便が黒くなる、などです。
胃カメラで潰瘍があるかどうかを確認することができます。治療は飲み薬が中心ですが、潰瘍になった原因を取り除くことも大事と思います。
機能性ディスペプシア
症状の原因となるような、臓器の実際の異常はないにもかかわらず、胃の痛み、胃もたれ、心窩部痛、腹満感などが続くことを機能性ディスペプシアと言います。
今のところ原因は不明です。診断のためには、問診のほかに、胃カメラなどの検査が必要です。
規則正しい食生活、睡眠リズム、過度なストレスを避ける、といった生活習慣の改善が治療につながることがあり、必要に応じて薬の内服を行うことがあります。
胃癌
胃の粘膜にできる癌です。
ピロリ菌感染が非常に大きな原因となります。具体的には胃にピロリ菌が感染することによって、萎縮性胃炎(粘膜の萎縮)、腸上皮化生(胃に、腸のような粘膜ができてしまう)を介して癌が発生します。
ほかにも食塩の過剰摂取、喫煙がリスクとなります。食塩摂取量の多い、東北地方などは胃癌の発生率が高いという統計があります。
早期の癌は無症状です。
進行して癌が大きくなると、食べ物が食べられなくなってしまったり、出血したり、痛みが出ることがあります。
内視鏡治療の技術が進み、早期の癌はかなりの確率で内視鏡で切除ができてしまいます。
しかしある程度進んでしまうと、内視鏡では切除できず、またリンパ節転移を起こしてしまうため、全身麻酔で胃を切除する手術が必要となります。
早期発見がとても重要ですので、とくにピロリ菌感染がある方、または過去にあった方は、定期的な胃カメラの検査が勧められます。